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内分泌
内分泌
4 図
副腎不全 — 軸のどこが切れたかで、余るホルモンが変わる
左は視床下部・下垂体・副腎を簡略化して縦に並べた絵で、上から下へCRH・ACTH・コルチゾールが流れ、コルチゾールが上の2つを抑え返すネガティブフィードバックを破線で描いている。切れうる3か所に番号を置いた。右はその3か所それぞれで何が起こるかを並べたもので、ACTHが上がるか下がるか、球状層のアルドステロンが残るかどうかが分かれ目になる。臓器の地色は装飾で、意味を持つのはカードの色。
副腎不全 — 軸のどこが切れたかで、余るホルモンが変わる
足りないのはどれもコルチゾール. 違うのは「上流のACTHが上がるか下がるか」と「球状層のアルドステロンが残るか」.
視床下部
CRH
下垂体前葉
ACTH
副腎皮質
球状層 → アルドステロン
束状層 → コルチゾール
RAA系
球状層はこちらが主
コルチゾール
全身の標的組織
抑え返す
ネガティブフィードバック
外から入るGC
1
2
3
縦積みは上流→下流の順序.
番号は「どこが切れるか」で,
重症度の順でも起こる順でもない.
1
副腎皮質そのものが壊れる(原発性・Addison病)
束状層も球状層も同時に失う → コルチゾールと
アルドステロンの両方
が低下
抑え返すものが無くなる → CRH・
ACTHは上がる
ACTHはPOMCから切り出される. 同じ前駆体のMSHも増える →
色素沈着
アルドステロンが無い → Naを失いKを溜める → 低Na・
高K
・循環血漿量の低下
決め手はコルチゾール低値 + ACTH高値。色素沈着と高Kはこの型だけ
2
上流が切れる(続発性=下垂体 / 三次性=視床下部)
ACTHが届かない → 束状層だけが働かなくなる →
ACTHは低い
・色素沈着は出ない
球状層を主に動かしているのはACTHでなくRAA系 →
アルドステロンは残る
→
高Kにならない
。ただし低Naは起こる(コルチゾール欠乏でADHの抑制が外れる)
下垂体の障害なら他の前葉ホルモンの欠損を伴うことがある
3
外から入るステロイドが軸を抑える(医原性)
いちばん多い原因
薬のGCが視床下部・下垂体を抑え返す → CRH・ACTHが下がり
副腎は萎縮する
検査の見え方は 2 と同じ(ACTH低・色素沈着なし・Kは正常)
薬を飲んでいる間は足りている。
急にやめた時と、感染・手術で需要が増えた時に破綻する
萎縮した副腎が戻るには数か月〜1年かかる。減らすなら時間をかける
略語
CRH: 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン / ACTH: 副腎皮質刺激ホルモン / POMC: プロオピオメラノコルチン / MSH: メラノサイト刺激ホルモン
RAA系: レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 / ADH: 抗利尿ホルモン / GC: グルココルチコイド / Na: ナトリウム / K: カリウム
内分泌
副腎不全
軸のどこが切れたかで、余るホルモンが変わる
副腎不全
Addison病
HPA軸
ネガティブフィードバック
甲状腺中毒症 — ホルモンが「作られている」のか「漏れている」のか
甲状腺濾胞を2つ並べた図。上は自己抗体がTSH受容体を刺激し、ヨードを取り込んで新しくホルモンを作り続けている状態。下は濾胞が壊れ、コロイドに貯めてあったホルモンが血中へ流れ出している状態で、細胞が壊れているのでヨードは取り込めない。血液検査ではどちらもTSHが下がりFT4が上がるが、ヨードの取り込みは逆向きになる。
甲状腺中毒症 — 作られているのか、漏れているのか
血液検査はどちらもTSH低値・FT4高値で同じ顔をする. 分かれ目は「濾胞がまだ働いているか」.
A 刺激されて作り続けている
コロイド
(Tgに結合した貯蔵)
TRAb
受容体を刺激
ヨード
取り込み ↑
T4・T3 を作り続ける
B 壊れて中身が漏れている
壊れた濾胞
貯蔵分が
一気に出る
Tgも一緒に
細胞が壊れている
→ ヨードを取り込めない
A・Bは別の病態で、進行の段階ではない.
A 作りすぎ(Basedow病) — 濾胞は元気に働いている
TRAbがTSH受容体を刺激 → ヨードを取り込み、新しいホルモンを作り続ける
→
放射性ヨード摂取率は上がる
。びまん性に腫大し血流も増える
刺激が続くかぎり
終わらない
。眼症・前脛骨粘液水腫はこの型だけ
合成を止める薬(抗甲状腺薬)が効く —— 止める対象が動いているから
根治は放射性ヨード内用療法か手術。薬は寛解を待つ治療
B 漏れ出し(破壊性) — 濾胞が壊れて貯蔵分が出ている
無痛性甲状腺炎・亜急性甲状腺炎・出産後・ICI関連・アミオダロンのtype 2 など
壊れた細胞はヨードを取り込めない →
摂取率は下がる
。Tgは
上がる
出せる量に限りがある →
数週〜数か月で自然に収まる
貯蔵を使い切ると一時的に機能低下になり、その後もどる(中毒症→低下→回復)
抗甲状腺薬は効かない —— そもそも合成していない
対症的にβ遮断薬。亜急性甲状腺炎の痛みにはNSAIDs、強ければGC
C 外から入っている — 甲状腺は何もしていない
甲状腺ホルモン製剤の過量・自己使用。摂取率は下がり、甲状腺腫もない
Bと分けるのは
Tg
—— 濾胞から出たのではないので
Tgは低い
Bは壊れた濾胞からTgも一緒に出るので上がる。ここが唯一の分かれ目になる
略語
TSH: 甲状腺刺激ホルモン / TRAb: 抗TSH受容体抗体 / FT4: 遊離サイロキシン / T4: サイロキシン / T3: トリヨードサイロニン
Tg: サイログロブリン / ICI: 免疫チェックポイント阻害薬 / NSAIDs: 非ステロイド性抗炎症薬 / GC: グルココルチコイド
内分泌
甲状腺中毒症
作られているのか、漏れているのか
甲状腺中毒症
Basedow病
破壊性甲状腺炎
無痛性甲状腺炎
血清Ca — PTHは骨・腎・腸の3経路でCaを上げる
左は絵。左上の副甲状腺から右へPTHの矢印が出て、骨・腎に当たる。腸への作用は腎で作られる活性型ビタミンDを経由する。3つの臓器から左下の血清Caへ矢印が集まり、血清Caから副甲状腺へ破線の負のフィードバックが戻る。番号1から4は破綻点。右は4つの破綻点それぞれで検査値がどう組み合わさるかのカード。臓器の地色は装飾で、意味を持つのはカードの色。
血清Ca — PTHは骨・腎・腸の3経路でCaを上げる
Caを上げる経路は骨・腎・腸の3つで, どれもPTHが動かす. 低Ca血症でPTHを測れば, どこで調節が破綻したかが分かる.
副甲状腺
CaSRで血清Caを感知
Ca低下 → PTH分泌
血清Ca 上昇
PTH
同時に作用
骨
破骨細胞を活性化
Ca・リンを遊離
腎
遠位でCa再吸収 ↑
近位でリン排泄 ↑
1α水酸化酵素 ↑
→ 1,25(OH)2D を産生
1,25(OH)2D
腸
Ca・リンの吸収 ↑
PTHの直接作用はない
いずれも血清Caを上げる
Ca上昇 → CaSRがPTH分泌を抑制
1,25(OH)2DもPTH分泌を抑制
1
2
3
4
Mg欠乏
実線は促進, 緑の破線は抑制(負のフィードバック).
腸だけはPTHの直接作用でなく 1,25(OH)2D を介する.
番号は破綻点で, 頻度や重症度の順ではない.
リンはPTHで腎から排泄されるので, Caと逆に動く.
1
PTHが抑制されない → 高CaでもPTHが下がらない
腺腫の自律分泌
(原発性): 3経路への作用が持続する.
骨吸収が進み, 腎はCaを再吸収してリンを排泄 → Ca高・リン低
CaSRの感度低下
(FHH): 設定点が上方へずれ, PTHは正常〜軽度高.
腎のCaSRも感度が低く
尿中Ca排泄が少ない
→ 尿Caで原発性と鑑別
血液検査が似ていても, 異常の場は「腺」と「センサー」で異なる
2
PTHの分泌低下 / 作用不全 → 3経路とも働かない
分泌低下
(副甲状腺機能低下症): PTH低・Ca低. リンを排泄できず
リン高
作用不全
(偽性): 受容体以降が反応しない. PTH高なのにCa低・リン高
「PTH高かつリン高」は, 分泌はあるのに作用しないことを示す.
3経路とも働かないので低Caが高度で, テタニーなどの症状が出やすい
3
腸の経路だけ働かない(ビタミンD作用不全)
腸からのCa吸収が減る → Caが低下傾向 →
PTH上昇
(続発性)
骨・腎への作用でCaはほぼ保たれるが, リン排泄が続く →
低リン
低Ca症状は乏しく, 低リンの症状(骨軟化・筋力低下)が主体になる.
Ca正常でもPTH高になる(正Ca血症性PTH高値の鑑別に入る)
4
Mg欠乏 → PTHの分泌と作用がともに低下
PTHの
分泌にも
, 骨・腎での
作用にも
Mgが必要. 両方が低下するため
PTHは
低値・正常・高値のいずれもとりうる
(1〜3の型に合わない)
低Kを伴いやすい. CaやビタミンDの補充では改善せず,
Mg補充で改善
低Ca血症ではPTH・リンと同時にMgを測定する
略語
PTH: 副甲状腺ホルモン / CaSR: カルシウム感知受容体 / 1,25(OH)2D: 1,25-ジヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD) / FHH: 家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症
Ca: カルシウム / Mg: マグネシウム / K: カリウム / リン: 無機リン(血清リン)
※ カルシトニンは生理的な血清Ca調節への寄与が小さいため, この図では扱わない.
内分泌
血清Ca
PTHは骨・腎・腸の3経路でCaを上げる
カルシウム
PTH
副甲状腺
ビタミンD
甲状腺の軸 — TSHとFT4が同じ向きか逆向きかで、壊れた場所が分かる
左は視床下部・下垂体前葉・甲状腺を簡略化して縦に並べた絵で、上からTRH・TSH・T4/T3が流れ、T4/T3が上の2つを抑え返すネガティブフィードバックを破線で描いている。壊れうる4か所に番号を置いた(4のホルモン不応症は受容体の異常が全身に及ぶため, フィードバックを受ける視床下部・下垂体と末梢の標的組織の2か所に×を置いた)。右はその4か所それぞれで何が起こるかを並べたもので、TSHとFT4が同じ向きに動くか逆向きに動くかが最初の分かれ目になり、同じ向きに動く2つ(TSH産生腫瘍とホルモン不応症)は検査値だけでは区別できないことを示している。臓器の地色は装飾で、意味を持つのはカードと番号の色。
甲状腺の軸 — TSHとFT4が同じ向きか逆向きかで、壊れた場所が分かる
逆向き(TSH↑・FT4↓)なら甲状腺そのもの. 同じ向きに動くなら上流(視床下部・下垂体)か, 受容体そのものの異常.
視床下部
TRH
下垂体前葉
TSH
甲状腺
T4・T3
全身の標的組織
抑え返す
ネガティブフィードバック
1
2
3
4
4
縦積みは上流→下流の順序.
番号は「どこが壊れるか」.
同じ向きに動くか逆向きかが,
TSH/FT4を読む軸(右のカード参照).
1
甲状腺そのものが壊れる(原発性)
橋本病・術後・放射性ヨード後など → 甲状腺がホルモンを作れない →
FT4は下がる
抑え返すものが減る → 視床下部・下垂体は正常に働く → TRH・
TSHは上がる
決め手はTSHとFT4が逆向き(TSH↑・FT4↓)。頻度は最多
潜在性ではTSHのみ上昇しFT4はまだ正常域にとどまる
2
上流が壊れる(中枢性=下垂体性・視床下部性)
TRH・TSHの指令が甲状腺に届かない → 甲状腺自体は正常でも動けない →
FT4は下がる
司令塔が壊れている →
TSHは上がるべきなのに低値〜正常域にとどまる
決め手はFT4低値なのにTSHが上がらないこと。TSH単独では見逃す
下垂体の障害なら他の前葉ホルモン欠損を伴うことがある(必ずFT4も測る)
3
下垂体が刺激を出し続ける(TSH産生腫瘍)
腫瘍が自律的にTSHを分泌 → 甲状腺は正常なまま刺激され続ける
→
TSH・FT4がともに高い
SITSH(TSHの不適切分泌)の代表. macrotumor(1cm以上)が約8割
下垂体MRIで腫瘤を探す。TRH負荷でTSHはほとんど反応しない(無〜低反応)
αサブユニット/TSHモル比が高いことも手がかり。④と検査値だけでは区別できない
4
受容体が反応しにくい(甲状腺ホルモン不応症)
TRβ遺伝子変異で下垂体も末梢組織も反応が鈍い
→
TSH・FT4がともに高い
(③と同じパターン)
家族歴が助けになるが, de novoが27.6%あり家族歴なしでも否定できない
TRH負荷でTSHは反応する(③と逆)。抗甲状腺薬は禁忌に近い(甲状腺腫が悪化)
③との鑑別は下垂体MRI+TRH負荷試験+αサブユニット比+遺伝子検査
検査値が同じ向きに動くだけでは③④は割れない。軸全体で唯一の例外
略語
TRH: 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン / TSH: 甲状腺刺激ホルモン / FT4: 遊離サイロキシン / T4: サイロキシン / T3: トリヨードサイロニン
TSHoma: TSH産生下垂体腫瘍 / RTH: 甲状腺ホルモン不応症 / SITSH: TSHの不適切分泌 / TRβ: 甲状腺ホルモン受容体β
内分泌
甲状腺の軸
TSHとFT4が同じ向きか逆向きかで、壊れた場所が分かる
甲状腺機能低下症
中枢性甲状腺機能低下症
TSH産生下垂体腫瘍
甲状腺ホルモン不応症