病態図鑑

血清Ca

PTHは骨・腎・腸の3経路でCaを上げる

血清Ca — PTHは骨・腎・腸の3経路でCaを上げる 左は絵。左上の副甲状腺から右へPTHの矢印が出て、骨・腎に当たる。腸への作用は腎で作られる活性型ビタミンDを経由する。3つの臓器から左下の血清Caへ矢印が集まり、血清Caから副甲状腺へ破線の負のフィードバックが戻る。番号1から4は破綻点。右は4つの破綻点それぞれで検査値がどう組み合わさるかのカード。臓器の地色は装飾で、意味を持つのはカードの色。 血清Ca — PTHは骨・腎・腸の3経路でCaを上げる Caを上げる経路は骨・腎・腸の3つで, どれもPTHが動かす. 低Ca血症でPTHを測れば, どこで調節が破綻したかが分かる. 副甲状腺 CaSRで血清Caを感知 Ca低下 → PTH分泌 血清Ca 上昇 PTH 同時に作用 骨 破骨細胞を活性化 Ca・リンを遊離 腎 遠位でCa再吸収 ↑ 近位でリン排泄 ↑ 1α水酸化酵素 ↑ → 1,25(OH)2D を産生 1,25(OH)2D 腸 Ca・リンの吸収 ↑ PTHの直接作用はない いずれも血清Caを上げる Ca上昇 → CaSRがPTH分泌を抑制 1,25(OH)2DもPTH分泌を抑制 1 2 3 4 Mg欠乏 実線は促進, 緑の破線は抑制(負のフィードバック). 腸だけはPTHの直接作用でなく 1,25(OH)2D を介する. 番号は破綻点で, 頻度や重症度の順ではない. リンはPTHで腎から排泄されるので, Caと逆に動く. 1 PTHが抑制されない → 高CaでもPTHが下がらない 腺腫の自律分泌(原発性): 3経路への作用が持続する. 骨吸収が進み, 腎はCaを再吸収してリンを排泄 → Ca高・リン低 CaSRの感度低下(FHH): 設定点が上方へずれ, PTHは正常〜軽度高. 腎のCaSRも感度が低く尿中Ca排泄が少ない → 尿Caで原発性と鑑別 血液検査が似ていても, 異常の場は「腺」と「センサー」で異なる 2 PTHの分泌低下 / 作用不全 → 3経路とも働かない 分泌低下(副甲状腺機能低下症): PTH低・Ca低. リンを排泄できずリン高 作用不全(偽性): 受容体以降が反応しない. PTH高なのにCa低・リン高 「PTH高かつリン高」は, 分泌はあるのに作用しないことを示す. 3経路とも働かないので低Caが高度で, テタニーなどの症状が出やすい 3 腸の経路だけ働かない(ビタミンD作用不全) 腸からのCa吸収が減る → Caが低下傾向 → PTH上昇(続発性) 骨・腎への作用でCaはほぼ保たれるが, リン排泄が続く → 低リン 低Ca症状は乏しく, 低リンの症状(骨軟化・筋力低下)が主体になる. Ca正常でもPTH高になる(正Ca血症性PTH高値の鑑別に入る) 4 Mg欠乏 → PTHの分泌と作用がともに低下 PTHの分泌にも, 骨・腎での作用にもMgが必要. 両方が低下するため PTHは低値・正常・高値のいずれもとりうる(1〜3の型に合わない) 低Kを伴いやすい. CaやビタミンDの補充では改善せず, Mg補充で改善 低Ca血症ではPTH・リンと同時にMgを測定する 略語 PTH: 副甲状腺ホルモン / CaSR: カルシウム感知受容体 / 1,25(OH)2D: 1,25-ジヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD) / FHH: 家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症 Ca: カルシウム / Mg: マグネシウム / K: カリウム / リン: 無機リン(血清リン) ※ カルシトニンは生理的な血清Ca調節への寄与が小さいため, この図では扱わない.
血清Caを上げる経路は骨・腎・腸の3つで、いずれもPTHが動かす。腸への作用だけは腎で産生される活性型ビタミンDを介する。上昇したCaと活性型ビタミンDがPTH分泌を抑制する(負のフィードバック)。低Ca血症でPTHとリンを測れば、腺・センサー・受容体以降・ビタミンD・Mgのどこで調節が破綻したかが分かる。
図だけを開く(SVG) 作図 2026-09-12 / 改訂 2026-09-18

出典

次の資料を元に作図しました(図表の転載・トレースはしていません). ガイドラインは改訂されるため, 利用にあたっては最新版の確認をお願いします.

  • 教科書

    カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版 改訂第2版 VIII 内分泌

    日本医事新報社(総編集 坂井建雄・河原克雅) / 改訂第2版(2012)

    「PTHは活性型ビタミンD3, カルシトニンとともに血漿Ca濃度を調節する」(誌面558-560): PTHの骨・腎への作用, 1α水酸化酵素の活性化, 近位尿細管でのリン再吸収抑制(NaPi-II), CaSRによる分泌調節

  • 教科書

    虎の門病院内分泌クリニカルプラクティス 改訂版 第4章 カルシウム・骨代謝疾患

    クリニコ出版(編著 竹内靖博・竹下彰・辰島啓太) / 改訂版(2023-09-28)

    高Ca血症のPTHによる二分とFECaによるFHH除外(誌面310-312), 低Ca血症でPTH・リン・Mgを同時に測りMg欠乏を先に除外(誌面312-313), 症状の出方(副甲状腺機能低下症は症状が前面・ビタミンD作用不全は低リンの症状が主)(誌面313), ビタミンD欠乏の正Ca血症・低リン・PTH高(誌面322), Mg欠乏はPTH分泌不全と作用不全を同時に起こしPTHは様々な値をとる・低Kを伴いやすい(誌面331-332)

作図: 病態図鑑(オリジナル). 作図 2026-09-12 / 改訂 2026-09-18. 参照時点の版に基づく.