病態図鑑

胆石

詰まる場所で別の病気になる

胆石 — 詰まる場所で別の病気になる 左は肝臓・胆嚢・胆管・十二指腸を簡略化して描いた絵で、結石が止まりうる3か所に石を置いてある。臓器の地色は装飾で、意味を持つのは石とカードの色。緑=無症候、橙=局所の炎症、赤=全身へ及ぶ病態。総胆管の位置では内圧の上昇によって胆管内の菌が肝静脈へ逆流することを破線の矢印で示している。 胆石 — 詰まる場所で別の病気になる 石そのものは同じ. どこで止まるかで,何の流れが止まり,どこに圧がかかるかが変わる. 肝臓 胆嚢 胆嚢管 総胆管 十二指腸 菌が血流へ 1 2 3 1 胆嚢の中を漂っている 無症候性胆石 胆汁の通り道をどこも塞がない 胆嚢が縮んでも中身を押し出せる → 圧がかからないので何も起こらない 2 胆嚢の出口に挟まる 胆石発作 急性胆嚢炎 胆嚢が縮んでも胆汁の出口がない → 胆嚢の内圧が上がる 石がずれて一過性に済めば → 右季肋部の疝痛. 数時間で軽快する 挟まったままだと粘膜が傷み細菌が増える → 胆嚢そのものの炎症へ 圧がかかるのは胆嚢だけ. 全身へは波及しない 3 総胆管に落ちて詰まる 閉塞性黄疸 急性胆管炎 敗血症 胆汁が流れず血中へ回る → 黄疸. ここまでは「詰まっただけ」 うっ滞した胆汁の中で細菌が増え, 胆管の内圧がさらに上がる 内圧が一定を超えると胆管内の菌が肝静脈へ逆流する(cholangiovenous reflux) → 局所の詰まりが全身の感染症になる だから抗菌薬だけでは止まらない —— 減圧(胆道ドレナージ)が治療の本体 例外 — Mirizzi症候群: 「詰まった場所」ではなく「押した場所」で黄疸が出る 胆嚢管に挟まった石が総肝管を外側から圧迫する. 総胆管に石が無いのに閉塞性黄疸になる
胆石症の関連疾患がばらばらに見えるのは、結石が違うからではなく止まる場所が違うから。胆嚢の中を漂っていれば圧がかからず無症候、胆嚢の出口に挟まれば胆嚢の内圧が上がって胆石発作から急性胆嚢炎、総胆管に落ちればうっ滞と細菌増殖で胆管内圧が上がり、菌が肝静脈へ逆流して急性胆管炎・敗血症になる。局所で収まるか全身へ及ぶかを分けているのは、圧がかかる場所である。
図だけを開く(SVG) 作図 2026-09-11

出典

次の資料を元に作図しました(図表の転載・トレースはしていません). ガイドラインは改訂されるため, 利用にあたっては最新版の確認をお願いします.

  • ガイドライン

    急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(TG18新基準掲載)

    急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会(日本肝胆膵外科学会・日本腹部救急医学会・日本胆道学会・日本外科感染症学会) / 医学図書出版 / 第3版(2018-09-10)

    急性胆管炎・胆嚢炎の病態、胆道ドレナージの位置づけ

  • ガイドライン

    胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)

    日本消化器病学会(編) / 南江堂 / 改訂第3版(2021-11)

    胆石の存在部位と病態、Mirizzi症候群

作図: 病態図鑑(オリジナル). 作図 2026-09-11. 参照時点の版に基づく.