病態図鑑

SLEの分子標的薬

同じ増幅ループの, どこを止めるか

SLEの分子標的薬: 同じ増幅ループの、どこを止めるか 免疫複合体が形質細胞様樹状細胞のTLR7/9を刺激してI型インターフェロンを産生し、それがB細胞とT細胞をさらに活性化して自己抗体を増やす増幅ループを描く。ベリムマブはBLyS/BAFFを、アニフロルマブはI型IFN受容体を、リツキシマブはCD20陽性B細胞を、ボクロスポリンはT細胞のカルシニューリンを阻害する。前3者は生物学的製剤、ボクロスポリンだけカルシニューリン阻害薬で、図では薬剤の色がその区別を示す。各ノードには細胞・分子の模式図を添えてある。 SLEの分子標的薬 — 同じ増幅ループの, どこを止めるか 4剤が混同されやすいのは, どれも一つの増幅ループに作用するから. 違うのは止める場所だけ. 免疫複合体 核抗原 + 自己抗体 形質細胞様樹状細胞 TLR7/9 で核酸を感知 I型インターフェロン IFN-α / IFN-β I型IFN受容体(IFNAR) 炎症・臓器障害 B細胞(CD20陽性) 生存・活性化 / ■ = CD20 形質細胞 自己抗体を産生 BLyS / BAFF B細胞活性化因子 T細胞 カルシニューリン→NFAT→IL-2 取り込み 産生 受容体へ結合 さらに活性化 分化 自己抗体が 複合体を作る 増幅ループ 共刺激・IL-2 アニフロルマブ 抗IFNAR抗体 リツキシマブ(抗CD20) ベリムマブ 抗BLyS/BAFF抗体 ボクロスポリン カルシニューリン阻害薬 薬剤の阻害点 生物学的製剤(抗体) カルシニューリン阻害薬 シクロスポリン誘導体 リツキシマブはRCTでは有効性を示せず, 本邦は2023年8月に公知申請等を経て ループス腎炎へ承認 略語 SLE: 全身性エリテマトーデス / TLR: Toll様受容体 / IFN: インターフェロン / IFNAR: I型インターフェロン受容体 / IL-2: インターロイキン2 BLyS: B細胞刺激因子 / BAFF: B細胞活性化因子 / CD20: B細胞表面抗原 / NFAT: 活性化T細胞核内因子 / RCT: ランダム化比較試験
ベリムマブ・アニフロルマブ・ボクロスポリンが混同されやすいのは, 3剤とも「自己抗体 → 免疫複合体 → I型インターフェロン → B細胞・T細胞の再活性化」という一つの増幅ループに作用するから. 止める場所が違うだけで, ベリムマブはB細胞の生存因子(BLyS/BAFF), アニフロルマブはI型IFN受容体, ボクロスポリンはT細胞のカルシニューリン, リツキシマブはCD20陽性B細胞そのものを狙う. 図では薬剤の色が薬効分類を示し, 生物学的製剤3剤(紫)とカルシニューリン阻害薬であるボクロスポリン(ティール)が色で分かれる.
図だけを開く(SVG) 作図 2026-09-09 / 改訂 2026-09-18

出典

次の資料を元に作図しました(図表の転載・トレースはしていません). ガイドラインは改訂されるため, 利用にあたっては最新版の確認をお願いします.

  • 雑誌

    日本内科学会雑誌 115巻3号 第53回内科学の展望 2)「全身性エリテマトーデス〜免疫学的病態と新規治療薬〜」(石井智徳)

    日本内科学会 / 2026年3月号

    誌面 p.359-363

作図: 病態図鑑(オリジナル). 作図 2026-09-09 / 改訂 2026-09-18. 参照時点の版に基づく.