病態図鑑

SLE治療

GC曝露をどう最小化するか

SLE治療: GC曝露をどう最小化するか 上段はGC用量の時間経過(中等症〜重症ではメチルプレドニゾロンのパルス125–1000 mg×1–3日を先に置き、経口GCの初期量は臓器病変の重症度で決め、維持量5 mg/日以下へ減らして中止を目指す)。下段左のヒドロキシクロロキンは全例の土台で、再燃を防ぐことでそもそもGCを増やさない。下段右の3群は並列の選択肢で、投与の順番ではなく病態に応じて選び、GCの減量を可能にする。2つの経路はそれぞれ独立に上段のGC用量へ向かう。 SLE治療 — GC曝露をどう最小化するか 治療の主語は「何を足すか」ではなく「グルココルチコイド(GC)をいかに使わずに済ませるか」 グルココルチコイド(PSL)の用量 時間 → パルス(中等症〜重症) mPSL 125–1000 mg×1–3日 経口GCで寛解導入 初期量は臓器病変の重症度で決める 維持量 ≤5 mg/日へ (プレドニゾロン換算) 中止を目指す EULAR 2023に明記 そもそもGCを 増やさない GCの減量を可能にする 寛解導入したGCを落としていける 全例の土台 ヒドロキシクロロキン (HCQ) 疾患活動性にかかわらず 全例に投与する 再燃を防ぐ 寛解を維持する GCを早期に減らせる 生命予後を改善する ▲ HCQ網膜症 視力障害が出た時点で不可逆. 目標 5 mg/kg実体重/日 を守り, 定期的な眼科スクリーニングを行う GCを減らすための道具 3群は並列 — 投与の順番ではない 上から順に足すという意味ではない. 病態に応じて選ぶ. 免疫抑制薬 IVCY(導入) → AZA(維持) MMFは導入・維持の両方で確立 軽症のセカンドラインにも拡大 カルシニューリン阻害薬 ボクロスポリン(腎病変) 細胞分裂を直接抑えないため 血球減少例で使いやすい 生物学的製剤 ベリムマブ(抗BLyS/BAFF) アニフロルマブ(抗I型IFN受容体) 効く病態が異なる → 個別化 略語 SLE: 全身性エリテマトーデス / GC: グルココルチコイド / PSL: プレドニゾロン / IVCY: シクロホスファミド間欠静注療法 / AZA: アザチオプリン / mPSL: メチルプレドニゾロン MMF: ミコフェノール酸モフェチル / HCQ: ヒドロキシクロロキン / BLyS(BAFF): B細胞活性化因子 / IFN: インターフェロン / EULAR: 欧州リウマチ学会 ※ 腎病変の支持療法(RAAS阻害薬・SGLT2阻害薬・スタチン・骨粗鬆症対策)は別図 kogen-03 で扱う
SLEの治療は「何を足すか」でなく「グルココルチコイドをいかに使わずに済ませるか」で組まれている。ヒドロキシクロロキンは全例の土台として再燃を防ぎ、そもそもGCを増やさない。免疫抑制薬・カルシニューリン阻害薬・生物学的製剤の3群は並列の選択肢で(投与の順番ではなく病態に応じて選ぶ)、GCの減量を可能にする。この2つの経路によって、経口GCの初期量を臓器病変の重症度に応じて決め(中等症〜重症ではメチルプレドニゾロンのパルスを先に置き、経口量の速い減量を助ける)、維持量を5 mg/日以下へ、最終的に中止へ持っていく。
図だけを開く(SVG) 作図 2026-09-09 / 改訂 2026-09-18

出典

次の資料を元に作図しました(図表の転載・トレースはしていません). ガイドラインは改訂されるため, 利用にあたっては最新版の確認をお願いします.

  • 雑誌

    日本内科学会雑誌 115巻3号 第53回内科学の展望 2)「全身性エリテマトーデス〜免疫学的病態と新規治療薬〜」(石井智徳)

    日本内科学会 / 2026年3月号

    誌面 p.359-363

  • ガイドライン

    EULAR recommendations for the management of systemic lupus erythematosus: 2023 update (Fanouriakis A, et al.)

    EULAR / 2023 update / Ann Rheum Dis 2024;83(1):15-29

    勧告2: GCは臓器病変の種類と重症度で用量を決める(上限値・減量期限の記載なし). 中等症〜重症では mPSL パルス 125–1000 mg/日×1–3日を考慮(3b/C). 維持量は equal or less than 5 mg/day (prednisone equivalent)へ最小化し可能なら中止(2a/B). HCQ は全例に target dose 5 mg/kg real body weight/day. 本文HTML(ard.bmj.com/content/83/1/15)で確認

  • ガイドライン

    ヒドロキシクロロキン適正使用のための手引き(近藤峰生ほか)

    日本眼科学会 / 日本眼科学会雑誌 120巻6号: 419-428(2016-06-10)

    IV 眼科検査の実施時期 / V 本剤の添付文書に規定されている眼科検査(p.420-): 網膜症スクリーニングの時期と項目

作図: 病態図鑑(オリジナル). 作図 2026-09-09 / 改訂 2026-09-18. 参照時点の版に基づく.